転職支援のこんな運用
売上げの10%も支払うと、経営が成り立ちませんよ」「そうでしょうね。
では二つめ。
この人の雇用を継続するおつもりなら、報酬の大幅な軽減と権利条項の削除、それと解雇条件の付加などを談判されること。
三つめは、早急にこの人を解雇なさることです。
どれをお選びになるかは御社のご判断ですが、相手は契約書を楯にとって争ってくるでしょうから、どちらにしても相応の出費は覚悟してください」「わかりました。
さっそく社長に連絡して判断を仰ぎます。
それで……、このあとも力を貸してもらえますか?」「もちろんです。
こういう闘いは十数年やってきていますから。
Aさん、これもいい機会ですから、他のアメリカ人との雇用契約書もご自身でチェックしてみてください。
そして、少しでもおかしいと思ったら、いつでも私にご連絡ください。
条文をファクシミリで送信してもらえれば、私のほうでチェックしますから」そんなやりとりをして、Aさんと別れました。
契約書締結に関する日米の意識の隔たりここでの問題点を少し整理してみましょう。
最大の問題は、契約書の内容を読まずにサインしてしまったことに尽きます。
たとえ読んだ場合でも、「アメリカではこれが相場なんだろう」と一人合点してサインをしてしまう。
そして、サインをすることの重大さに気づかないのです。
というのも、日本の商慣習においては、契約書が一般的に次のようなものとして扱われているからはないでしょうか。
甲乙がビジネスを行うとき、両者は互いの信義を重んじ、契約書はどちらかというと「覚書程度の形式的なもの」と見なされています。
契約書の最後に書かれる「問題が生じた場合は、甲乙が互いに誠意をもってこの解決にあたる」という条項が、そのことを端的に示しているといえるでしょう。
では、実際に問題が起こったときどうするかというと、契約書の内容はほとんど顧慮されず、甲乙が対等な関係なら互いの立場や面子、信用などが傷つかない着地点を探して問題を解決します。
上下関係(買い手か売り手か、親会社か子会社かなど)がある場合は、優越的な立場の側の主導に従って落着を図る、というのが常です。
ですから、契約書にサインすることは、いうなれば儀式のような感覚で受け取られているようです。
しかし、欧米諸国にはそんな日本的感覚は通じません。
もちろん、何か問題が生じた場合、誠意があるかどうかは別にして話し合いは持たれますが、それが決裂するとすぐに訴訟が起こります。
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